母親。
パート勤務で看護師。扶養枠内での個人病院勤め。
小学校低学年のころの私はいつも家に入れない。
私の帰宅より、母の帰宅の時間のほうが遅かったから。
ずーーっとお家の前で待ちくたびれて、
やっと帰ってきた母を見つけたときは、「おかーーーさん」って、駆け寄るのだけど。
母はいつも、ぶすっとしてて、そっぽをむいて私の方をみようとしない。
「お腹空いた」にも「トイレ行きたい」というのにも反応しない。
反応しないから、繰り返し訴えると
母「もう!」って怒ってた。
母は9割がたぶすっとしていた。
私が本を読んでいて…といってもまだ小さいから声に出して一文字一文字音に出さねばならなかったころ。
私「も く じ !ねーおかーさん、もくじって何?」
母(そっぽを向いたまま)「読んだらあかんとこ!」
と叫んだ。
私「…え、読んだらあかんの?」
母「あかん!」
と、そっぽを向いたまま、なんかすごく怒った顔をしてた。
それ以来私、本を開いたら目次ってところをめくらないように、慎重に慎重に…
目次をみてしまったらきっと悪いことがおこるのでは!
と、本をもつたびにブルブル震えて怯えた。
食事中。
私はただ無言で食事していただけだったと思う。
母親がなにかにイラついたのか、食器をガシャンと音を立てておいた。
自覚はなかったが、私はそのときビクってしたらしい。
すると、
母「はあ?なにビクってしてんのよ! 何よ!」
って、私の目前で、何度も何度も繰り返し食器をガシャンガシャンと叩きつけ続けた。
向かいに座る姉が顔をしかめていたのが視界に入った。
まれに機嫌がいい時もあった。
母「ナラコ (満面の笑みを浮かべながら)ギッコンバッコンしてあげようか」
私「?」
母「赤ん坊のときよくやってあげてたじゃない。覚えてないの。ほらしてあげる ぎーっこんばーこん」
…母があおむけにねて、膝下に私をのせて、足バージョン?の高いたかーいみたいなやつでした。
何かよくわからないが、その時の母は機嫌が良かった。
翌日も「ギッコンバッコンして」って私が甘えたら喜んでもらえるのかと思い、勇気を出して言ってみた。(機嫌よくなってくれるかもしれないし…!)
すると、
母「はあ!ギッコンバッコンてなに!?そんなの知らないよ!やったことないわっ」
とたいそうお怒鳴りになりましたとさ。
そんなわけで、
自分が何をすると怒られて、何をしないと怒られるのか?
機嫌がよくなってくれるポイントはあるのか?
さっぱりわかりませんでした。
デフォルトいつも怒ってたりぶすっとしてて、
ある日突然、短時間だけ機嫌のよい時間帯が発生する母。
ふたたび訪れた機嫌のよい時間。
母がこんなことを言いました。
母「アンタ、まだ2歳だったかな。…急にいなくなるのよねえ(笑)。
どこいったかなーって探しにいったら、近くのガソリンスタンドとか、
駐車場とかで、一人でべたーってしゃがみこんでうつむいて、じーっとしてんの(笑)。
まーいつも近くにいるんだけどさ、いっつもじーっとしゃがんでんの、
じーーーーーっと。 アハハ」
(あーそれ、私2歳だったのか。。。)
それについて母はなにが嬉しいのか、まったくわからなかったけど、
なにも訂正せずにだまって笑っててもらいました。
母「どうせ何も覚えてないんだろうけど(笑)」
母は、覚えてないと決めつけてきましたが。
私はきっちり覚えてた。
私それ、家出してたんだけどな。。。
小さい子の家出なんて、大人からすれば鼻で笑うようなもんなんだろうけど。
(徒歩5分圏内のガソリンスタンドにいるとかじゃ…ねぇ。)
でも私は間違いなく家出してた。
家出初回がたぶんガソリンスタンドだったの。
なぜそこを選んだかは自分でもわかんないけど。
風が…すっごい吹いてて寒くってねぇ。。。
寒いし、ずっと立ってて疲れてきたし、お腹空いたし。。
(疲れたから座ろう)って思ってしゃがんだの。
しゃがんだら、お腹が暖かく感じることに気がついたの。
私(わぁぁ お腹があったかーい)
って、思った時の感覚、今も覚えてる。
それで私(ずっと、こうしていよう…)って、
ずっとしゃがんで、膝に顔をうずめていたの。。
とはいえ、2回目、3回目の家出ともなると、
「おかーさん、来てくれるかなぁ。。」
って、声に出して呟いてたんだけどね。